【齋藤 薫の老けない人。老けない話。】Vol.54 ダイアン・キートンをお手本に年齢や欠点は、とことんオシャレに隠す「絶世のアンチエイジング」

2024.03.30

【齋藤 薫の老けない人。老けない話。】Vol.54 ダイアン・キートンをお手本に年齢や欠点は、とことんオシャレに隠す「絶世のアンチエイジング」

太くなってしまったウエストを気にして、ベルトのない服ばかりを着ていると、もっとお肉がついていく・・・誰もがなんとなく気づいていること。   でもいつかはしっかりとトレーニングして細くするとして、今はルーズな服でごまかしておこう。そういう発想になっている人、少なくないのではないだろうか。

  ただ本気のトレーニングは「いつかいつか」と後回しにしているうちに、どんどん億劫になって、もう後戻りできない状況になってしまいがち。

  だから改めて考えてみたいのは、要らないものは、隠してしまうのか、隠さずに戦っていくべきか、一体どちらが正しいのかということ。

例えばだけれど、首のシワを気にしている人は、首にストールを巻いて片側の肩の上でリボン結びにして華やかに装えば、欠点を隠しているイメージにはならないはず。

見せたくないものを見せないのは1つの見た目アンチエイジングだけれど、欠点を隠しているイメージになったら逆効果。

だからとことんオシャレに隠す。首のシワにこそ年齢が現れるのを逆手にとって、むしろ年齢以上に若々しく見せる方法だ。 同様にしっかりとお肉がついてしまったウエストも、ただぼんやりとさせるのではなく、ベビードールのようにウェストをマークせずに裾に向かって広がったテントドレスを選んでみたり。

これは、バストまではフィットさせ、胸から裾に向かってゆるやかなフレアーが入ったトレンドのデザインで、薄手の柔らかな素材だと、とてもラグジュアリーな雰囲気になり、太いウエストを隠しているなど誰も思わないはず。

あるいはまた、15センチ以上もありそうな幅広のサッシュベルトをハイウェスト気味にしめるなどすれば、やっぱりオシャレに見えても隠しているようには見えない。

ネガティブをポジティブに変えるファッションは、極めて効果的なアンチエイジングなのである。

かつて「アニーホール」で一世を風靡した女優ダイアン・キートンは70代で再ブレイク、彼女をヒロインにした映画が何本も作られているが、「ドライビング ミス デイジー」のように高齢者をテーマにしたストーリーではない、思いっきり恋愛ものだったり、青春モノの如き人生ドラマだったり・・・。これからの主役は70代であることを教えてくれる、ワクワクするような作品ばかりなのだ。

で、そうした作品のほとんどで、ダイアン・キートンは黒ブチの粋なウェリントン眼鏡をかけている。そしてファッションは、なんともオシャレなフレンチトラッド。

黒ブチのウェリントンが本当によく映える装いだ。だからこの人は、全く若作りをしていないのに、ありえないほど若く見える。

まさにこのメガネが、目まわりのシワを見事なまでにオシャレに隠してるのに加え、スタイルそのものが年齢をまるで感じさせないから。 中高年がメガネをする時、いかにもマダムな“淡い色付きの大振りで金ピカのメガネ”を選んでしまいがち。   もちろん素敵につけこなす人もいて、一概に否定はできないけれど、多くは目尻の小じわを隠すため?と見えてしまう。

これがトラッド風だと、スタイルが100%確立しているから、年齢を隠しているようには見えないのだ。 そして何よりもこの人は、ほとんどの瞬間、笑顔ばかり。いやそう錯覚するほど笑顔の多い人。

これが法令線や顔の頬のたるみをあまりにも自然にカバーしていることを気づいてほしい。

年齢は隠すのではなく、どこまでもオシャレに隠す、それがとても自然な若さにつながる。ぜひとも、トライしてみて欲しい。

  • 齋藤薫 / saito kaoru

    美容ジャーナリスト。
    女性誌編集者を経て独立。 女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人 日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『されど“男”は愛おしい』(講談社)他、『“一生美人”力人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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