【齋藤 薫の老けない人。老けない話。】Vol.56 いよいよ不老長寿、〝人が歳を取らない時代〟の到来。それまでに私たちがしておくべき事とは?

2024.10.01

【齋藤 薫の老けない人。老けない話。】Vol.56 いよいよ不老長寿、〝人が歳を取らない時代〟の到来。それまでに私たちがしておくべき事とは?

 最近になって、エイジングケア界の動きがにわかに激しくなってきた。肌の話ではない、むしろ肉体全体、まるごと「歳を取らないための薬」の研究が本格化しているのだ。

 

  以前もこのコラムでご紹介したように、世界的ベストセラーとなったハーバード大学医学大学院遺伝学のシンクレア教授『ライフスパン|老いなき世界』という著書の中での提言「老化は病気の1つだから、治療ができる」という考え方がベースとなって、ならばどんな治療法があるのかという、不老長寿の研究が様々な機関で急ピッチで進んでいるのだ。

  これは従来の美容とは全く異なる考え方。いわゆる美容医療とも違う。基本的には薬剤などで老化という病気を止める発想だ。

  それも動物実験は既に終えていて、後は人間の体でそれを実証し、10年先には何とか実用化したいという話。

  いやもっと早まるかも、という説も聞こえてきている。

  言うならば、医学界がアンチエイジングにようやく本気になった訳で、もう人が歳を取らない未来に向けてはっきりと扉が開いたと考えて良い。

  であるならば、今の50代60代、いや70代80代も、その治療法を待っていれば、その先の運命が変わるかもしれないわけで、今からワクワクが止まらない。

   ただ逆に言えば、それまで一体どうするのかという新しい問題が生まれてしまう。

  いつか不老長寿の薬が生まれるのであれば、そしてそれ以上歳を取らなくなるのであれば、少しでも若々しい体を保っておきたい。そう思うのではないだろうか。

  言い換えれば、そういう未来が待っているのなら、今以上にエイジングケアに本気になるべきではないか。

  ここでとても重要なのは、体丸ごとの若返りの時代がやってくるわけで、それこそ肌だけではダメ、肉体の若さそのものをキープしておくこと。

  だからビューティーと同じ位の思いを持って、肉体改造してみて欲しい。

  従来型の筋トレだけでなく、ピラティスで体幹を鍛えて、ストレッチで柔軟性を整えて、若い体を保つと同時に、食事の面でも、腹八分目を心がけたり糖質の取りすぎに気をつけたり、栄養のバランスを考えたダイエットとは異なる若い体作りに励みたいのだ。

  そしてもう一つ、歳を取らない時代が来るまでにしっかりとキープしておかなければいけないのが脳の若さ。

  と言っても、いわゆる脳トレを始めましょうと言う話ではない。むしろ大切なのは好奇心を絶やさず常に新しい物事に取り組むのが、最も効果的に脳を刺激し、若い脳を保つための決め手なのだとか。

  このように、肌だけではない、体も脳も、同時にエイジングケアする意識を持って欲しい。

  だからあと一つ、そういう意味での“意欲”を持ち続けるためには心のエイジングケアも重要。やる気がなければどんなエイジングケアも続かない。

  不思議なもので、心と体、心と脳、そして心と肌もそれぞれつながっていて、気持ちが高揚すれば全てがうまく回っていく。

  逆に言えば“やる気”を起こすための基本は筋肉だとも言われるし、肌がキレイ、プロポーションが美しいと褒められることが、またドーパミンの分泌を高めて“やる気”を湧き上がらせることもわかっている。

  つまり体の全てがお互いを高め合い、良きスパイラルを生む状態を作ることが何より重要なのだ。

  “歳をとらないためのサプリ”の先駆けとして既にNMNがポピュラーとなっているが、今後さらに本格的な老化防止薬が生まれてくるに違いない。

  それを待ちながら、肌も体も脳も心も全てを巡らせるエイジングケアを始めよう。

  • 齋藤薫 / saito kaoru

    美容ジャーナリスト。
    女性誌編集者を経て独立。 女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人 日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『されど“男”は愛おしい』(講談社)他、『“一生美人”力人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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