【齋藤 薫の老けない人。老けない話。】Vol.51 自分の力をもっと信じて!自分自身が美容ツールだと自覚する お手入れのススメ

2023.06.25

【齋藤 薫の老けない人。老けない話。】Vol.51 自分の力をもっと信じて!自分自身が美容ツールだと自覚する お手入れのススメ

小さな切り傷は、放っておいてもいつの間にか治っている。軽い火傷も、気がつけば何事もなかったように治っている。考えてみれば凄いこと。

いつもは忘れているけれど、私たちはとてつもなく優れた自然治癒力を持っているのだ。いやバンソウコウを貼っても、結局のところそれは自分で治していくのをサポートしているだけ。多くの野生動物がいかなる傷も舐めて治していくように。

ちなみに昔の傷の治療は「よく消毒して、乾かして治す」ものだったが、今のキズバンは「消毒せずに、湿らせて、密封して治す」。

それは今主流となっている〝湿潤環境を作ることで創傷治療を行うテクニック〟。

昔はガーゼで傷口を守っていたのに、それもしない。ひたすら肌本来の〝自ら新しい皮膚を作っていく力〟に任せるのだ。

数日で傷口が白く盛り上がって新しい皮膚ができることに、目を見張るのだろう。

いずれにしても、人間は素晴らしい力を持っている。にもかかわらず、それを手厚く助けてくれる化粧品の目覚ましい進化に全て任せて、そうした自分の力をすっかり忘れてしまっているのが現実。

昔から「肌本来の力を引き出す」というのは、スキンケア効果の常套句だが、それだけに言葉の意味を改めて考えることもなくなっていた。

それこそ100%化粧品に頼りきり、美容医療に頼り切って、自分の肌の力を顧みようとしない人が多いのだ。

その結果、肌の力をみすみす眠らせてしまっている人も少なくないのかもしれない。

実はそんな中で、改めて肌の力を最大限に利用する美容の流れが生まれてきている。

いやそもそも細胞代謝を高めるお手入れも、古い角質を取り去る角質ケアも、肌が新しく生まれ変わろうとする力を目覚めさせるアプローチ。

一方で、美容医療にも例えば「ダーマペン」のように、目に見えないほど小さな傷をつけて、それを自分で治そうとする創傷治癒の力を引き出し、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促すプログラムがある。

でもそれ以上に、人の体には実際のところ、気が遠くなるほど緻密で複雑で多様な機能があって、その一つ一つをきちんと利用しようという流れになっているのだ。

今、年齢とともに劣化し機能しなくなっている毛細血管を蘇らせて強化するようなスキンケアが注目だが、それも人が持つ能力の立て直し。

外から与えるのではない、内側から力を引き出すわけで、これからは自分自身の中にある力を使うことをもっと意識してお手入れしてみてほしい。

いや、いきなりそう言われても・・・と戸惑うはずだが、そこで見直してほしいのが、神経系への働きかけ。

脳神経を通して、まるで暗示をかけるように美しさへ導いていくアロマテラピーもその一つ。

香りを嗅ぐことで、リラックスしたり、エネルギーをチャージしたり、ぐっすり眠れたり、すっきり目覚められたり。

自分の中の副交感神経が活発になり、美しさにつながるような幸福感を得られること、自分の中で感じてみたいのだ。

それこそが自らキレイになる力を全開にすること、自分自身がそこに参加していることをぜひ体で実感して欲しい。

外から与える美容成分等に限界が見えてきた今、これからは自分の力をいかに目覚めさせるかにかかっている。

それを踏まえて自分自身が「美容ツールそのものなのだ」という自覚を持ちたい。そうすれば、今までの当たり前のお手入れも多分もっと効果が現れる。

〝自分を効かせよう〟という見えない力が働くから。ともかく今日から自分の力をもっと信じ、フルに使ってお手入れを始めたい。

それが最強の美容トレンドだと知ってほしいのだ。

  • 齋藤薫 / saito kaoru

    美容ジャーナリスト。
    女性誌編集者を経て独立。 女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人 日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『されど“男”は愛おしい』(講談社)他、『“一生美人”力人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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