vol.12 皮膚科が教える乾燥対策
寒さが増してくると気になるのが乾燥。粉をふいたり、手足がかゆくなったり…といった乾燥肌特有の症状にお困りの方は意外と多いものです。
当院にもこの季節になると乾燥の悩みで来院される人が急増しますが、家庭での適切なケアを行うことでかなり緩和することができます。今回はそんな乾燥肌対策についてお伝えします。
「かくから余計にかゆくなる」の悪循環
例えば、皮膚が乾燥すると外部からの刺激を受けやすくなるため、ちょっとした物理的な刺激にも敏感になります。すると、下着のしめつけ部位がかゆくなったり、髪や衣類のチクチク感が常に気になってイライラやストレスに繋がります。かゆみが酷い場合は、睡眠不足に陥るケースもあります。
また、ついかき過ぎてしまって炎症や湿疹化を招いたり、皮膚をひっかくこと自体が刺激になってさらにかゆみが生じ、「かゆいからかく→かくことでさらにかゆくなる」という悪循環に陥ることも。また、長期間にわたってかいたりこすったりを繰り返していると、やがては傷跡のように残ってしまう可能性もあります。
ご存知ですか?冬でも乾燥しない肌をつくる!
冬の肌では何が起きているのでしょうか?
皮膚のうるおいは皮脂、天然保湿因子、細胞間脂質という3つの物質によって一定に保たれています。しかし、これらの物質は、特に湿度の低下や加齢などが原因で減少し、乾燥状態をひきおこします。
入浴剤選びから毎日の食事まで。日常的にこまめなケアを。
乾燥を放置したまま、自然と治ることは期待できません。そこで生活スタイルを変えたり、スキンケアを取り入れることが大切になってきます。例えば、入浴すると、肌がかゆくなった経験はありませんか?入浴時は角質層がゆるみ、もともと持っている天然保湿因子やセラミド等の細胞間脂質が浴湯中に流出してしまうため、皮膚が乾燥してしまうのです。逆に、角質層がゆるんでいる時は浸透性が高い状態でもあるので、保湿成分などが配合された入浴剤を使用することで効率的なスキンケアをすることができます。
ただし、香料や着色料が使われている入浴剤は、逆に肌への刺激になりがちなので注意が必要です。また、身体の乾燥が気になる部分はローションでうるおし、クリームなどでうるおいを閉じ込めるのがベストです。
その他、暖房機を使う際は加湿器を併用したり、服は締め付け感のない天然素材を選んだり、爪は短く切り、かかないよう努める…といったこまめなケアを日常的に取り入れていくことが大切です。
インナーケアとしては、特に乾燥に効果的なビタミンA(βカロチン)の豊富な、卵、ニンジン、かぼちゃ、海藻などを意識して摂取しましょう。乾燥は放置していると多くの場合、悪化してしまいます。市販のクリームなどを使用しても改善されない場合は、ご自身によるケアを一旦中止して皮膚科を受診するようにしてください。
その保湿で本当に大丈夫?
肌を乾燥した状態で放置しておくと、急速に老化が進みます。
特にシワに乾燥は大敵。アンチエイジングを考えるなら、まずはしっかりとした乾燥対策ができているか、日ごろのケアを見直してみましょう。 ポイントは「保湿=水分+油分」ということ。乾燥対策としてこってりクリームを愛用する方も多いですが、水分と油分の両方をたっぷり保湿するのが正しい保湿ケア方。しっかりと水分を補い、適度な油分できちんと蓋をすることが大切です。水分をたっぷり補充するコツは、ローションをしみ込ませたコットンで肌表面が少しひんやりするまでていねいにパッティングしたり、ローションマスクをすること。
ケア後も肌の温度に変化がない場合は潤いが足りていない証拠です。